辰・未・戌・丑が「土」とされる理由は、自然の摂理から導かれたものではありません。
もともと辰・未・戌・丑は、東西南北の四方位に三支ずつ均等に配置され、四象(青龍・朱雀・白虎・玄武)の一員として機能していました。この4支だけをまとめて「土」に分類する根拠は、古代の天文体系のどこにも存在しません。
辰・未・戌・丑が土とされた理由は、前漢の中央集権化と儒教の国教化にあります。後漢の『白虎通義』(西暦79年)において「土は中央に位置して王となり、辰・未・戌・丑を主る」と明記されたことで、四方位が均等に持っていた十二支の一部が、政治的に「土」へ割り当てられ直されたのです。
つまり辰・未・戌・丑が土である理由は、天体観測ではなく、皇帝を中心とする五行的な政治秩序を正当化するための、後付けの再編にあります。
第二章では、甲骨文・睡虎地秦簡・馬王堆帛書・白虎通義などの出土文献をたどりながら、辰・未・戌・丑がなぜ土とされたのか、その歴史的経緯を検証しています。詳しくは各記事をご覧ください。